JAXA「はやぶさ2」プロジェクト 研究者向けデータベースシステム開発

概要

宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)が2014年12月に発射した小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星「リュウグウ」への着陸および物質採取に成功し、2020年12月に無事地球へ帰還しました。はやぶさ2がリュウグウから回収した貴重な試料は、多くの研究者にとって価値ある存在。研究者が試料を検索し、利用を申し込むためのシステムが「Ryugu Sample Database System」です。ユーワークスは2018年にJAXAから依頼を受け、この「Ryugu Sample Database System」の開発を実施。はやぶさ2の帰還後ほどなくして「Ryugu Sample Database System」は無事に稼働し、多くの研究者の役に立っています。2021年12月にはJAXAから、感謝状がユーワークスに届けられました。

本プロジェクトに取り組んだ背景

JAXAとユーワークスとのかかわりは、「はやぶさ2」プロジェクト以前の2017年にさかのぼります。当時JAXAは宇宙科学ミッションに関するさまざまなデータをアーカイブするシステム「Data ARchives and Transmission System (DARTS)」の開発を公募しており、これに応札したユーワークスが受注することになりました。DARTSを無事に開発・納品した実績が認められ、その後も現在に至るまでJAXAとの取引は継続。「Ryugu Sample Database System」の開発に際しても、当社にご依頼いただくことになりました。

本プロジェクトの主な課題と解決方法

課題「開発時点で全く未知の試料」に対応する仕様の策定

「Ryugu Sample Database System」の開発がスタートした2018年当時、はやぶさ2はまだ地球に帰還しておらず、リュウグウからどのような試料が持ち帰られるか、全く不明の状態でした。データベースシステムにおいては、研究者が利用したい試料を迅速かつ正確に検索する機能が必要ですが、試料の内容も量も不明な状態では、どのような仕様にすべきか判断することは困難です。しかし、はやぶさ2の帰還後、速やかに研究がおこなわれるためには、帰還前に「Ryugu Sample Database System」を完成させることは必須のミッションでした。

解決豊富な研究支援実績に基づく想像力と提案力を発揮

ユーワークスは設立以来、30以上の大学や公的研究機関から依頼を受け、研究支援システムの開発に携わってきました。研究支援システムの多くは、特定の研究分野における前例のないシステムであり、研究者自身にも「研究をおこなった結果、どのようなデータが出るか」「どのような仕様がユーザーにとって最善か」といったことが明確にわからないことも珍しくありません。もちろんユーワークスのエンジニアも、それぞれの研究分野に精通しているわけではありません。しかし当社のエンジニアは、研究機関を対象としたシステムの企画・開発経験が豊富であることに加え、「想像力を駆使したユーザー目線の提案」を得意としています。「Ryugu Sample Database System」開発においてもこの強みを活かし、JAXAとの調整を重ねつつ、ユーザーにとって最も使いやすいシステムを提案。試料の検索時に関連データを紐づけて使いやすくするなど、検索しやすい工夫を凝らしました。

【本プロジェクトの成果・反響】

JAXAからの感謝状をいただき、その後の取引も順調に継続

「Ryugu Sample Database System」ははやぶさ2の帰還後まもなく正式に公開され、多くの研究者がこのシステムを使って宇宙から持ち帰られた試料を検索・利用しています。今後の宇宙開発をはじめ、幅広い科学分野の発展に寄与することが期待されており、2021年12月にはJAXAからユーワークスに対し感謝状が贈られました。また、JAXAとの取引は順調に継続しており、「Ryugu Sample Database System」および2017年から手掛けている「DARTS」の改修・保守を依頼いただいています。

【JAXAとのプロジェクトにおいて活かされている当社の特長】

豊富な研究支援システム開発の実績

ユーワークスは国立大学や政府系の研究機関、民間企業の研究部門など、幅広いクライアントを対象にシステム開発を中心とした研究支援業務を手掛けています(https://youworks.jp/about/)。科学技術分野を得意とするエンジニア陣を擁し、豊富な実績を有していることが、ユーワークスがJAXAをはじめ、多くの研究機関から信頼いただいている理由の一つだと思います。大学や研究機関特有の契約や、プロジェクト進行についても精通しており、契約から納品までスムーズに行うことが可能です。

【本プロジェクトの技術を応用できる分野】

宇宙開発にとどまらず、多彩な研究分野のシステム開発に対応いたします

ユーワークスでは今回ご紹介した宇宙開発以外にも、省エネルギー、医療機器分野をはじめ、さまざまな科学技術分野におけるシステム開発を支援してきました。これからも、ユーワークスは分野を問わず研究者の皆様をITで支え続けていきたいと考えていますし、より高度なニーズにもお応えできるよう、AIや機械学習といった先端技術の研究・応用にも取り組んでいます。「研究を促進するためにシステムを導入したいが、どの企業に頼めばよいのかわからない」という方はもちろん、「研究を効率化したいが、そのためにどのようなシステムがあればよいのかまでははっきりわからない」という方からのご相談も、私たちは歓迎いたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。