資格試験運営のWebシステム化

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アナログからデジタルへ、さまざまな想いを乗せて。

ユーワークスと日本道路建設業協会との出会いは2011年の秋。舗装施工管理技術者資格試験に関する申請・更新手続きのWebシステム化が、はじめてのプロジェクトでした。日本道路建設業協会が運営する舗装施工管理技術者資格は、公共工事の入札参加要件や技術者の評価などに活用されている資格ですが、これまでは試験の申請、資格の更新共に、紙での手続きが行われてきました。受験生への申請書の送付をはじめ、送られてきた申請書のチェックや受験資格を証明する書類の確認など、その作業は膨大。受験シーズン前には、データ入力や記入事項の正誤確認のため、約15名の人員をアウトソーシングして対応していたそうです。受験者層のITリテラシーには、バラつきが想定されることもあり、Webへの対応は後回しにされてきました。以前、別団体によって運営されていた舗装施工管理技術者資格が、日本道路建設業協会に移管されたのをきっかけに、見直しが本格化。少し大袈裟に言えば業界の悲願、資格申し込み・更新にWebを活用したシステムの導入が開始されたのです。

 

まずは気持ち良く使ってもらうことを考えました。

開発にあたっては、システムの信頼性を大前提として、システム利用者の使いやすさに徹底的にこだわったそうです。そのなかでのキーワードが“色っぽい画面づくり”。つまりは、入力する人が自然と入力したくなる画面を制作することでした。そのため担当の林は、使いやすさの観点から、ヘルプや使い方を見ずに、見て分かる画面デザインを心掛けていたそうです。この使い勝手にこだわった積み重ねが、さらなる申請者の利用率向上につながると期待されています。 申請者がWeb上で必要事項を入力する際、システムが受験資格などを自動でチェックするため、協会の審査業務にかかる負担は劇的に低減しました。入力項目に誤りがあれば、Webでの手続きが進められない仕組みになっているため、申請者にとっても、修正・再送の手間がなくなり利便性の向上につながります。

 

2,3年をかけて、システムをじっくりと育てていく。

現時点では、Web環境がない申請者のために従来通りの申し込み方法にも対応しています。しかし、紙とWebからの申し込みを共存させる手法には、クライアントの理解が欠かせません。いきなりすべてをWebで解決しようとするとどうしても無理が出てきてしまいます。大倉さんも「2,3年使いながら良くしていく、育てていくという感覚です」という長い目でみているそうです。この点は、ユーワークスが大切にしている「現行から一歩すすめたソリューション提案」という思想にも重なる部分が大きく、両者の思いが一致した点でした。

 

エンジニアとの直接対話で、Web一元化を目指す。

資格試験の運用という独自性の高いシステムのため、「運用しながらでないと、分からないところがたくさんある」と大倉さんは言います。その点、今回のように開発後もエンジニアとクライアント担当者が直接話をしながら改善をすすめられることが大切だったと振り返ります。「ここを少し変えて欲しい」というオーダーも出しやすく、「これだったら30分くらいでできますよ」とその場で解決できることもプロジェクトを達成するための大きな要因のうちの一つでした。資格試験申し込み・更新のWebシステム化は建設業界関連の資格では初の「こころみ」。今では「あのシステムはどうやったの?」と質問されることも増えてきたのだとか。とはいえ、まだシステムは走り出したばかり。今後の利便性の向上に期待が寄せられます。

 

取材を終えて、わたしたちが感じた事

業界全体がペーパーレス化への転換期にある中で、その先端的プロジェクトに関われたことは、当社にとっても貴重な経験となりました。これからこのシステムがどのような成果を生み出してゆくか、後日談についても取材を重ねてゆきたいと思います。


一般社団法人日本道路建設業協会 大倉敏晃さま

大規模な舗装工事には欠かせない舗装施工管理技術者資格試験の運営が、日本道路建設業協会に移管して以降、主担当として資格の管理・運営に従事。業界でも初となる試験申し込み・更新のWebシステム化に取り組む。
(2012年10月17日現在)