排便障害の課題解決をAndroidアプリでサポート
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概要
ユーワークスは骨盤底筋群トレーニング向けの筋電計開発プロジェクトに参加しました。株式会社フジタ医科器械など5者による共同企画で今回はソフトウェア開発全般を担当。当該製品は2024年4月に医療機器として薬事認証されたのち、医療現場への導入も進んでおり、排便障害を抱える方のリハビリをITの力でサポートしています。
背景
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医療技術の進歩により、がんは治せる病気という認識に変わってきました。部位別の罹患数1位の大腸がんも例外ではありません。早期発見での5年生存率は99%と完治しやすいがんのひとつとも言われています。
その一方で術後の排便障害に悩む患者さんは多く、大腸がんが治ったとしても生活や仕事の不安は尽きません。
排便に大きく関わるのが腹筋と骨盤底筋群の肛門括約筋と肛門挙筋です。またこれらの筋肉を正しく動かすためのリハビリ(バイオフィードバック療法)には専用の医療機器を使用します。肛門内にプローブを挿入し、モニターで確認しながら力の入れ具合を適正値に近づけていきます。しかし排便時の筋肉の使い方は非常に感覚的なものであり、罹患前や術前の日常を取り戻すのは難しいというのが実情です。
本プロジェクトの主な課題と解決方法
課題現場の声を反映しやすい国産筋電計を開発したい
患者さんのQOL(Quality of Life)向上のためには高性能な医療機器が欠かせません。そこで求められたのがハード・ソフト両面において日本の医療現場の声を反映しやすい国産の筋電計でした。
解決1msの高精度を実現、Androidアプリで利便性向上
画面に表示する部分は利便性を高めるためAndroidタブレット向けアプリとして開発しました。1msという高精度での測定を可能にしたほか、テスターとして検証を繰り返し、医療機器としての使いやすさも追求しました。
工夫したこと
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従来の製品はパソコンを必要としていましたが、今回開発した製品はAndroidタブレットで動作します。軽量で持ち運びが楽になった上、タッチパネルならではの直感的な操作もメリットといえます。当初はBluetoothで無線化という案もありましたが、データ通信量の大きさを考慮し有線にしています。専門医の先生が研究発表で使えるようにCSVデータの出力機能も実装しました。
苦労したこと
ちょうどコロナ禍での開発だったためハードとソフトなど担当者間の意思疎通が難しく、プロトタイプの完成まで時間がかかってしまいました。またソフトウェアも対象となる薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の準拠も難題に。2023年(令和5年)にはサイバーセキュリティ対策の義務化も加わり、新ルールの解釈から作成まで地道に進めるしかありませんでした。前例の少ない状況で必要なドキュメントを一通り揃えるのにとても苦労しました。
ユーザーからの反響
2024年11月現在、導入済みの医療現場からはたくさんのご意見をいただいています。画面にマーキングできるようにしたい、腹筋のしきい値を下げてもらいたいなど、開発者サイドからは見えにくいフィードバックが10件以上ありました。なるほどと思える具体的な要望が出てくることに新システムへの期待の大きさを実感しています。
今後、期待できること
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今回の開発経験をベースに今後さまざまな展開が考えられます。たとえば排便だけでなく排尿障害にも対応するとか、医療施設に限定せず家庭でも使えるようにするとか。ドクターや患者さんのニーズには柔軟に対応できるはずです。ユーワークスとしても開発を通じて医療機器に対する知見を増やせました。特に薬機法準拠のノウハウを習得できたことは大きいと思います。これまでの実績と併せて次につながる強みとなりました。今後も安全性を最優先にハイクオリティな製品開発を心がけていきます。